少女と鬼
喪失
いつもの下校時間だった
小さい頃から
何かが見える
憑かれやすい体質
そんな世界とは無縁の普通の生活を送っていたと思う
憧れはなかったわけでは無いが
それも誰しもが思う程度の小さなもの
せっかくなら色々見えた方がお得だよね 程度
いつものようにいつもの道を歩んでいた
ふっと全身が吸われる感覚があった
それも今だからこそそう思うだけで
横風に体を押された位にしかその時は思わなかった
その瞬間私は膝から崩れ落ちた
持っていたスマホも鞄の床に散らして
何が起こったかわからなかった
ただわかるのは伸ばそうとした手がない事
立ちあがろうとする足がない事
引き裂かれたように消えていた
不思議と痛みはない
そのおかげか 現実味が薄く
夢でも見ている気分だった
それでも心臓が徐々に早鐘を打ち始める
逃げる どこへ 家へ
きっと誰かがいる
そこまで考えてようやく気づく
ここはどこだろう
少なくとも見知った場所ではない
薄暗く 陽の光が僅かに地に届く程度まで
鬱蒼と茂る森の中
どこか遠くて何かの息遣いが聞こえる
笑っているのか ただの呼吸音か
妙に苛立ちを覚え
意識が飛んだ